「自己破産したら、ふだん使っているパソコンやスマホは没収されるの?」
「今使っている家電製品や家具が差し押さえられて、生活ができなくなるの?」
本記事を読むと
- 自己破産とは
- 自己破産で差し押えになるもの・ならないもの
- 自己破産をするとしたら、どうすればよいのか?
について分かります。
自己破産すると手元にあるものはすべて差し押さえになるイメージがあるかもしれません。
結論、パソコンやスマホなど、高額な財産以外は手元に残せます。詳しく解説していきましょう。
監修:弁護士 力武伸一
東北大学法科大学院修了。岩永法律事務所(現:弁護士法人岩永・新富法律事務所)にて勤務後、2018年に長崎県長崎市に力武法律事務所を開業。「皆様にとってより身近な法律事務所でありたい」を理念として掲げ、事件の種類や難易を問わずに取り扱っております。依頼主の不安を「より早く」大きな安心に変えることを意識し、法律についても分かりやすい説明を心がけています。
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目次
そもそも自己破産とは何か?
自己破産とは、借金の返済義務を免除してもらう手続きのことです。
多くの借金を抱えた場合、自己破産手続きをすることで免責し、再出発するための制度として利用されます。免責とは、自分の借金の支払い義務を免除されることです。
具体的には、破産の申し立てをすることで借金の返済をしなくていいよ、と裁判所に認めてもらうことになります。
ただし、手元にある財産のうち、高額なものでお金に換えられる「換価財産」と判断された場合は、差し押えになることがあります。
換価財産は債権者に分配されます。
では、生活に欠かせないパソコンは差し押さえになるのでしょうか?
自己破産でパソコンは
差し押さえになるのか?
パソコンの価値が20万円未満の場合は、差し押さえられる可能性は低くなります。
中古で売った場合に20万円未満、もしくは時価が20万円未満のケースです。
まず、差し押さえ対象かどうかの基準として、民事執行法第131条という法律があります。
差し押さえると生活できなくなるものは、差し押さえをしてはいけませんよ、という法律です。
ですので、仕事に使用するパソコンや、生活必需品であるスマホは、原則は差し押さえされません。
ただし、時価が20万円超えの場合。
20万円超えで換金できるとなると、その分は債権者への返済に充てられます。
(東京地方裁判所の財産換価(自由財産拡張)基準より)
ここでは、「時価が20万円未満なら差し押さえられる可能性は低い」ということだけ覚えておきましょう。
パソコンの時価って
どうやって出したらいいの?
時価は、購入時の金額と年数から出す「減価償却」という方法です。
減価償却とは、購入したパソコンを、使用可能な期間で分割して経費にすること。
毎年経費とすることで、パソコンの価値が年々低くなります。
たとえば、購入時のパソコンが40万円以上で、購入から2年たっている場合。
使用可能な期間の「法定耐用年数」は4年なので、20万円超えになります。
40万円÷4年=10万円/年
1年目:40万円
2年目:30万円
3年目:20万円
4年目:10万円
ただ、最近はスペックが高いパソコンを安く買えます。
ほとんどの場合は該当しないと思われるため、気にしなくてよいでしょう。
パソコンが2台以上ある場合は、
差し押さえになるのか?
2台以上あれば、財産的価値が高い方が差し押さえられる可能性があります。
ただし、差し押さえ対象となるのは、時価が20万円超えのパソコンです。
付属品もパソコンの一部として見られるため、すベて合わせた金額となります。
よほどスペックが高いゲーミングパソコンなどでなければ気にすることはないでしょう。
クレジットカードの分割払いやローン返済中のパソコンは、
差し押さえになるのか?
ローンで買ったパソコンは差し押さえになる可能性があります。
なぜなら、ローンを組む場合、支払いが終わるまでは、パソコンの所有権がローン会社にあるからです。
自己破産するときに、ローン会社が回収できないと判断した場合、パソコンを差し押さえる場合があります。
実際は、一般的なパソコンを売ったとしても、回収金額には足りなかったり、売る手間や経費のほうが高くつくこともあり、差し押さえになる可能性は低いといえます。
自己破産でスマホは
差し押さえになるのか?
スマホは、生活に必要なものとして差し押さえされません。
ただし、以下の場合は利用できなくなる可能性があるので注意が必要です。
スマホ本体の分割払いをしている場合
機種代の分割払いの残債が残っている時には、強制解約になる可能性があります。
分割払いはローンと同じで、携帯電話会社が機種代を請求できないとなると回収することになるからです。
利用料金を延滞している場合
滞納している利用料金は自己破産の免責対象になります。
この場合、債権者が携帯電話会社になるため、スマホを解約されてしまう可能性があります。
滞納を少しでも解消することで解約を考慮してくれる可能性もあるため、専門家に相談するのがよいでしょう。
他の家電製品や家具、家、車は
差し押さえられる?
先ほどの説明の通り、時価が20万円を超えるものは財産的な価値ありと判断され、差し押さえになる可能性が高くなります。
家電製品や家具
日常生活に必要なものとして、20万円未満のものは残せます。
持ち家
原則として手放すことになります。
住宅ローンが残っている場合は、債権者によって競売になり売却されます。
競売手続きが進むと「競売手続き開始」という書類が届きます。
立ち退くまでの期間は、開始決定から約半年くらいです。
住宅ローンが残っていない場合は、換価財産として差し押さえになります。
また、もう一つの選択肢として、競売になる前に売却する「任意売却」という方法もあります。
自己破産を申し立てる前に、すでに売却してローンの返済に充てることにより、残債が減少し、連帯保証人の負担を軽くすることができます。
持ち家が差し押さえになった場合であっても、他の物件の賃貸契約は結べるのでご安心ください。
自動車
ローンが残っているかどうか、自動車の時価がいくらかで変わってきます。
ローンが残っていない場合は、時価が20万円超えであれば差し押さえになり、手放すことになるでしょう。
ローンが残っている場合には、所有権がローン会社になります。
基本は、ローン会社が車を引き取ります。
ただ、車がどうしても日常生活で必要だったり、時価が高くない場合などもあるかと思います。ケースバイケースのため、具体的な状況を専門家に相談するのが確実です。
自己破産するとしたら、
まず何をしたらいいか?
自己破産すると決めたら、申し立ての手続きのやり方について2つの選択肢があります。
自分で申し立てをするか、専門家へ相談するかです。
では、それぞれのメリットデメリットをお伝えします。
自分で申し立てをする場合
自分で申し立てをする場合のメリット
・費用が安くすむ
裁判所への費用のみですみます。
具体的には、裁判所に申し立てをする「申立手数料」、収入印紙代、予納金、官報公告費などです。
予納金とは、破産手続きをするときに裁判所へ支払わなければならない費用のことです。
自分で申し立てをする場合のデメリット
・書類の作成や手続きにかなりの時間が取られる
・債権者からの取り立てがなくなるのに時間がかかる
・専門知識の不足により、免責を得られない可能性がある
専門家に依頼する場合
専門家に依頼する場合のメリット
必要書類を作成してもらえる
提出書類の作成や、必要書類の準備が必要です。
書類の数が多いため、自分で作成する時間を省くこともできます。
また、裁判所とやりとりする書類を、専門家の事務所あてに届くようにすることが可能です。
債権者からの取り立てを止められる
専門家から受託通知を送ることにより、取り立てはなくなります。
自分で手続きする場合には、受託通知を送ることができないため、裁判所が申し立てを受理するまで取り立ては止まりません。
精神的な不安の一番の要素が取り立てかと思います。
こちらが早々になくなるだけで、安心して過ごせるでしょう。
免責を得る確率が高くなる
裁判所が免責を認めない場合があります。
(破産法252条1項 免責不許可事由)
浪費やギャンブルで借金を作った場合や、過去に破産したことがあり免責から7年以内の場合などです。
(破産法 第252条第1項第4号、10号)
そのときに、専門家に相談することで、これまでの事例や専門家の経験知識から、裁判所に免責を認めてもらうにはどうすればよいかが明確になります。
安心できる
知識と経験のある専門家に行ってもらうことで、ミスなく、質の高い対応ができます。
手続きにかかる時間や手間を省け、安心を得られます。
専門家に依頼する場合のデメリット
専門家を探す手間がかかる
専門家を探す手間がかかります。当サイトでおすすめの専門家を紹介しております。依頼をご検討の方は御覧ください。
専門家への費用がかかる
専門家への費用の相場は、司法書士は約20〜40万円、弁護士は約30〜50万円です。(裁判所で必要な費用を除く)
自己破産の手続き内容や、事務所によって費用が違います。
3つの自己破産手続きのうち、どれに該当するかで費用は変わる
自己破産の手続きには3つの種類があります。
このどれに該当するかで、費用や手続きが変わってきます。
1.同時廃止事件
処分できる財産がほとんどない場合、費用や手続きが少なくすみます。
破産手続き開始と同時に、破産管財人が選ばれずに手続きが終了します。
破産管財人とは、裁判所が選ぶ弁護士のことで、破産した人の財産の管理や処分をする人です。
予納金は、手数料と官報費の数万円になります。
2.管財事件
処分できる財産がある場合、破産管財人が財産の調査や換価処分をします。
破産管財人に対しての報酬が発生するため、費用が高額になります。
3.少額管財事件
管財事件よりも費用が少なくなります。
これに該当するかどうかは専門家の知識や経験が必要です。
専門家をどうやって選んだらいいのか?
専門家を選ぶときのポイントは、以下の通りです。
自己破産に対する実績が確かか
専門家の中でも得意分野があります。
債務整理を得意としている専門家に依頼するのがおすすめです。
相談料や着手金の費用はどのくらいか、分割払いができるか
相場を事前に調べ、他に比べて高くないか判断しましょう。
一括で支払いが難しい方は、分割払いができるかも聞いておくとよいでしょう。
立地は家や職場から通えるか
自己破産申立までに、何度も専門家と打合せを行うことになります。事務所に行くのに時間とお金がかかると面倒になりがちです。
通いやすい立地を選びましょう。
評判が悪くないか
口コミなどの評判が悪くないかも大事です。
すべてが正しいとは限らないため、一意見として頭の片隅に置いておくくらいにしましょう。
コミュニケーションが取りやすいか
互いに信頼関係を築けないでいると、手続きがスムーズに進みません。実際に会ってみて、話しやすいか、安心して依頼できるかが一番大事です。
まとめ
・自己破産でパソコンを差し押さえられる可能性は低い
・例外として、時価が20万円超えや、パソコンが2台以上の場合は1台をのぞいて差し押さえられる可能性がある
・スマホは、本体の分割払いや利用料金を延滞していると差し押さえられる可能性がある
・家電製品や家具は時価20万円未満なら残せる
差し押さえになる財産や自己破産手続きの費用は、ケースバイケースです。
自己破産を考えたら、まずは自分の場合はどうなのか、正確な情報を集めるためにも専門家に聞いてみましょう。
費用が高くて悩んでいるなら、無料相談ができる専門家を探してみるのもおすすめです。
1人で抱え込まず、1日も早く心が穏やかに生活できるように、信頼できる専門家を見つけて相談してみましょう。
債務整理や任意整理におすすめ
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